Dr.エクアドルのJ-POP大好き目次へもどる。

 


no.108 バレリーナさん マンスジはないだろうマンスジは (06.5.25)

 とある仕事で、モダンバレエを3日にわたって観続けることになった。例によって全然分からなかった。つい最近コンテンポラリーダンスの悪口めいたことを書いたような気がするが、モダンバレエはさらに分からん。まあ、クラッシックバレエも分からないといえば分からない−そのいい悪いを判断するだけの教養などハナっからないんだけど、ストーリーが童話だったりして、 また、動きにもパントマイムっぽい感じがあって全体にダンスというより演劇的な意匠がほどこされていて、俺のような下流貧民の無教養バカでも全く何のとっかかりもつかめないなんてことはない。「ああ、ここはお姫様の結婚式でみんながお祝いをしているシーンだな」とか、「クリスマスパーティーでみんなうかれてるシーンだな」とか、かなり内容をたどれる。問題はそれがどう面 白いのか分からないってことだ。

 それはさておき、モダンはストーリーもないし・・・いや、実はあるのかも知れないが、あるのかないのかそれすら分からないし・・・もう完全にお手上げだ。だが、そこらの演劇人より身体表現にはより自覚的であるとの自負をもつDr.エクアドルとしては・・・よく見ると一枚の布で幾人ものダンサーをくるんだり、「あ、コレは面 白くなりそうだな」という予感を喚起させるシーンには出くわさないこともない。だが、そういった予感は必ず裏切られる。「こういう小道具、こういう手法を用いるならもっとベタにやれば面 白いのに」というところで踏みとどまる。面白くなる一歩手前で踏みとどまる。分かりやすくなることはここでは堕落なのだ。そのストイックさこそが芸術ってやつなのだろう

 そんなわけで、睡魔と闘いながらの3日間だったが、そんな睡魔を一瞬にして吹き飛ばす出来事が一つあった。ある作品の自作(?)レオタードがピチピチに引っ張りすぎてなおかつ薄地なので食い込みすぎて尻の形もアリアリと浮き出ている! 前はどうなってるのだろうと気になるのが男ってもんだが、なんと前も食い込んでいた!ワレメが浮き出ている!乳幼児が水着着た時みたいに!レオタードの下にもショーツ穿いてる筈なのにどういうこと?しかも1人や2人じゃない!群舞で。

 まあ、前衛とよばれるダンス表現の中にはおっぱい丸出しだったり、全裸だったりするのもあり得ないことではないはずだ。本気の外国のカンパニーなんかではよくある話だ(詳しくないのであくまで推測)だが、どうなんだろう。レオタードが食い込んでワレメが浮き出ているってのは?

 何?その漂うストイックな空気に全く似つかわしくないエロティシズムは?まあ芸術なのでエロスをテーマに据えることもあるだろう。暗黒舞踏、とくに大駱駝艦とかならあえて上品じゃない、卑猥かつ低俗な見せ方を選ぶこともあるだろう。だが、モダンバレエでそれはないだろう。少なくとも、あの流れ上それはありえない。つまり、エロをテーマにそういうことをしてるわけじゃなくて、たまたま衣装の都合で食い込んでしまっただけらしい。

 で、舞台袖で我々の前を通るとき、なんとなく曖昧に隠すような仕草で通 ることから推測するが、ダンサー内では、前が食い込んでいることは誰もが薄々感づいてはいるが、誰もそれについて触れないような空気が漂っているに違いない。誰かがそれに言及し、恥ずかしいと思った瞬間から本物の羞恥プレイが始まってしまうからだ。「この衣装なんかエロいよねえ」と誰もが心の中でっているが、「いや、そんなことよりあの場面 の腕の角度は・・・」とたちまちうち消して直向きに打ち込むその姿勢。だが、それこそが実は一番エロい!

 バレエスクールなんかに通っているんだからそれなりにいいとこのお嬢さんで、胸張って誇れる習い事としてバレエの稽古に勤しんでいることだろう。で、その努力の成果 を見せる年に一度あるかないかの発表公演で着せられた衣装がワレメ食い込み。で、そんな下品なエロさには目を向けないようにしてひたすらダンスに没入する。なんて涙ぐましいエピソード!そしてなんてそそられるシチュエーション!

 なんか女性には習い事だから真面目に打ち込むっていう回路があるみたいで、ジャズダンスとかもひどいよな。アメリカ国旗の絵柄のレオタードを開襟シャツの下に着て踊ったり、どうみても場末のキャバレーのショーみたいな衣装だったりする。それを「なんかこれ露骨で下品だよね」なんてツッコミはおくびにも出さずにひたすら打ち込む。習い事だから真面 目にやる。

 お上品な芸事の名目の下にすごいエロスが展開しているよ!バレリーナさん、それでいいのかい?


Dr.エクアドルのJ-POP大好き目次へもどる。