オトタケ君結婚だってね。あ、ネタ古いっすか?どんな奥さんなのか気になるね。
まあ、どんなカタワでも有名人になってステイタス上がれば結婚も思いのままってこと。全国の生まれながらにして十字架を負わされた皆さん、励みになったかい?(なってないだろうね、別
に)
でも、「五体不満足」は私は読んだよ。みんなはまだ読んでないの?面白いよ。オトタケ君の常軌を逸した前向きさに圧倒されるよ。自分を社会的弱者とは頑と認めない強い心。人間思いこみの力ってのは大事だね。人間本当は自分を勝者だと思った者が勝ちなのかも知れないね。オトタケ君は中学時代生徒会長になって、毎日誰よりも
早く登校して、校門のところで全生徒を待ちかまえて、「おはよう」と声をかけまくってたらしい。すばらしい光景だね。そしたら「毎朝校門のところで挨拶をしてくれるあなたへ」とかラブレターまで貰ったらしい。いい話だね。私も「自分の性格の好きなところは卑屈なところ。」なんて言ってる場合じゃないかも知れないね。
さて、ベストセラーになった「五体不満足」だが、身障者本は売れるとか思ったのかどうか知らないが、ハンディキャップに負けず頑張りましたみたいな本がいっぱい
でてるね。本屋では定期的にその手の本のフェアとかやってたりしてるね。みんなはどんな便乗本を購入したかな。とりあえず私は3冊ほど読んでみたのでここで紹介したい。読んだのは辻井いつ子著「今日の風、何色?」、井上美由紀著「生きてます、
15歳」、武田麻弓著「ファイト!」だ。どれもそそられる素敵な題名でしょ。
「今日の風、何色?」と「生きてます、15歳」は盲目ネタだ。「何色?」とか言ってわかんねーつうの!この2冊を読み比べてみると身障者界における経済レベルの差というか階級差が分かって面
白い。「今日の風」を書いた辻井さんというのは元女子アナで旦那は産婦人科医。1960年生まれ。絵に描いたようなクリスタル族の青春を送っていたようだ。
「夫の孝は医学生時代から食い道楽の粋をつくしていました。お寿司もフレンチもテンプラも、美味しいものには目がなくて、二人でいろいろと食べ歩いたものです。
私は早い時期からフランスのブランド品が好きになり、同級生の中では少し大人びた
印象だったかも知れません」
ところがそんな人もうらやむハイクラス夫婦に生まれた子供は小眼球というめったにない先天的な異常を背負って生まれてくる。
「ディンクスもいいかな。でも子供もいいかな」というルンルン気分(死語)で迎えた妊娠のあとに突きつけられた過酷な運命。しこたまショックを受けるが、立ち直る術を模索し始める、息子が生後半年にしてブーニンの演奏を聞き分けられることを発見、音楽の才能があるかも知れないとおもちゃのピアノを買い与えたり、一歳半でピアノの先生を呼んだりして、子供の才能を伸ばすことに専心し続ける。有名な盲目のピアニストに出会って励まされたり、
三枝成彰氏の応援を受けたり、ニュースステーションに出演できたりして、親子してどんどん自信をつけていくという話である。「あら、○○先生にはお世話になったけ
どそろそろ○○先生もいいわね」みたいな一般的な庶民の暮らしをしている人間には
あまり実感のないレベルの話が続いていく。
これに対して、「生きてます、15歳」だ。「今日の風」のピアニストの卵にたいし
て、こちらは弁論大会優勝。
『暴力ふるうのはヤクザのすることたい。それが母親か』
と叫びました。するとバンと投げられた。足でけられた。
『ヤクザ、鬼、おまえなんかクソババだ』
逃げながら怒りにまかせて叫ぶと髪をつかまれた。
『イターイ。髪がぬける。ヒドイー』
なかなかワイルドな内容となっている。いつも母子喧嘩をしているようだ。 そんなコワイ母親も娘への愛情あってのことで娘の面
倒を見るために1人で苦労してやってきた店もたたんで弁当屋さんで働くようになったりしている。
ちなみに父親は母親が娘を孕むのと同時に事故で死んでいる。盲学校に行くとイヤな先生がいたりして、胃痛で何も食べられなくなったり、そんな娘を見て母親も意味もなく減量
して痩せこけた相貌になって周りの人たちをビックリさせたり、それでも 、母子はいつも喧嘩ばっかりしていたり、ストレスのたまるような涙ぐましい話が連続していく。自転車に乗る稽古をお互いに罵り合いながら進めたりとか。娘の胃痛がなおるきっかけは母親のものすごく暗い身の上話だったりする。母親の自分以上に辛
かった半生を聴いて少し救われる。最終的には母子愛で感動させる構成になっている
が、場末のワイルド感がひたすら印象づけられる。
こうしてみると、次の真実が浮かび上がってくる。すなわち 身障者の人生に健常者の人生以上の階級差が!
かたや母親始め周りが何もかもお膳立てしてくれて順風満帆のピアニストの卵。かたや罵り合いながら傷をつついたり舐めあったりしながら愛情を確認していって自転車に乗れて弁論大会で優勝。同じ15歳のメクラちゃん同士で人生をめぐる雰囲気がこうもちがうものか。とても勉強になりました。
ちなみに聴覚障害のもとヘルス嬢にしてぶら下がり族にして元ギャングの娼婦である豹ちゃんこと武田麻弓さんの半生記「ファイト!」も面
白いは面白かったが、彼女の風俗嬢体験→NYスラムでの生活というリスキーな冒険人生の記録がとても刺激的!
でも、読んでいる途中で彼女が障害者であることを忘れてしまう。そんな本だ。あまりにバイタリティ溢れてる生き方なのでのでたいした障害じゃないじゃんと思ってしまう(実際ハンディキャップに起因する苦労話はあまり載ってない)。オトタケ君の
便乗本としては弱いね。(じゃあ、まっとうなんじゃん)
便乗本探訪はこのあとも続きます。