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no.61  土田世紀(01.10.14)

 最近よく漫画について書くが、男性原理に固執し、佐藤まさあき、ふくしま政美(「玉 男」はどうなったのか?)、中島史博、新井英樹他、泥臭くて、可愛い女の子とかあまり出てこない劇画を敬愛するDr.エクアドルはいつ土田世紀について書くのかみんな気になっていたはずだ。あ、気になってない?そうすか。「俺節」はある意味衝撃的だったね。もう、10年以上も前になるのか。でも、手放しで好きにはなれなかったね。長淵臭くて、あるいは尾崎臭くて。でも、長淵や尾崎はダサイから嫌いだけど「長淵や尾崎はダサイから嫌い」とか言っている人はもっと嫌いな俺って何なんだろう。なんか嫌いだけど自分ってああいう人たちに近いのかな?って感じがあるんだよ。だから、土田世紀も気になる。ゴキコンって「俺節」って感じしない?「ちょっぴりスパイシー」なんて題名つけてるようじゃダメか・・・
  でも、「俺節」より、「編集王」のほうがグッと来るエピソードが多かったような気がする。設定は漫画誌の編集者になる話より演歌歌手目指してる方がいい感じになりそうなんだけど。「編集王」に関しては明治君のエピソードにスゴイものがあったな。男女関係にものすごくドライな明治君ってのが出てきて「なんかすんげえやなやつが出てきたな」って最初思うんだけど、回を追うごとに明治君のダークサイドにどんどん突入していく。いかにも本当にありそうで強烈な顛末。生きていくという営みが人間を無惨に変貌させていくことへのやりきれなさ。あれはゾクゾクした。「ヌかずヌルハチ」というマンガ内マンガの題名にも感動!
 あと、何年か前に「モーニング」誌に載ってた在日(何人だったか忘れた)がテーマの「異邦人」とかいう題名のやつ。読み切りだったかも知れない。今、読めるのだろうか。
 土田世紀は時々すごい迫力の書くね。でも、いつもいつもハイテンションなワケじゃないので、チェックはしてない。競馬のやつも読んでない。
 そして、先週からモーニングで始まった「雲出づるところ」。これもテンション高いね。苦いものがこみ上げてくるね。まだたいしたことは何も起きてない。つうか、謎めいた部分、これから説明されていくだろう部分ががまだあまりに多くて、どういう方向、どういうテーマに落ち着くかも分からない。ただ、不穏な予感だけが漂っている感じだ。しかし、それにしても上手い。こんなに上手かったっけ。何でもないコマに暗雲がたれ込めまくってるよ。運命のシビア感がみなぎってるよ。もうすでにしてお腹いっぱい、これで終わってもこの作品は忘れられないものになるだろう。シビアな運命にいやおうなく立ち向かわされる魂のきしみが心を揺さぶるね。今後の期待大(でも、すぐ終わりそうだ)。
 未だに私は土田世紀のファンじゃない。土田世紀の好きなものは好きじゃないし、多分趣味違う。でも、感動する時って、往々にしてその手の人が提供してくれることが多い。感動って趣味に共感するとかしないとかじゃないんだ。作り手の否応なしなパワーに触れることが感動なのだと思う。
 それと別にオマージュだけを手際よく構成した作品を観ると、作り手と趣味が近ければ近いほど腹が立ってくるね。最近はそんなことも余りなくなったけど。


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