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no.70 小娘をバカにすべからず(02.6.15

 以前使用した「小娘のメンタリティ」という言葉、けっこうお気に入りでまた使いたいなと思っていたりする。もっともこの言葉は「小娘にはたいしたこと出きるはずない」みたいな意味ではなく、「小娘独自の感受性を武器に勝負している人たちに興味はない」という意味合いで出来てきた言葉だ。といっても実は「小娘のメンタリティ」には興味しんしんで、街にいっぱいいる「浜崎あゆみみたいな人たち」が何を考えて生きているのか、あるいはいかに何も考えずに生きているのか、すごく気になる。「ヤマンバ」、「ゴングロ」は廃れたが、未だにメイクがどことなく小汚い女性たちが繁華街にはいっぱいいる。気になる。っていうか、話してみたい。触ってみたい。オヤジとして。オヤジだし、不細工だから相手にされないか。相手にされてええ!その一方で不愉快としかいいようがない「小娘のメンタリティ」も確かにある。そういう場合、俗世(=浜崎あゆみ)に背を向けて別 口のステイタスを勝ち得ようとしている憧れと屈折した優越感の入り交じった嫌みさがみなぎる。そんな嫌みさもある意味「小娘的」なのだ。
 そういうわけで小娘について何か書いてみようと思い、そしてJ文学について書くのもしばらくご無沙汰だったので、一つ小娘が書いた小説でも読んでみようと思って篠原一「壊音−KAION−」を読もうとした。高校2年生で文学賞をとったとかで話題になったやつだ。で、まだ高校3年ぐらいだろうと思ってたんだが、でもそれって93年のことだったようだね。もう十分大人じゃん。
 なお、作者は柳美里にタメを張る薄幸顔で、その容貌のエグさは吉本ばななに匹敵すると思われる。女子高生で文学賞を取ったときその情報だけ聞いて「何、文学賞をとった天才女子高生?どんなだろう。きっと・・・」と勝手な 期待を抱いて著者の近影を探し求め、ED寸前になってしまった純情オヤジも多いのではないか。いつでも現実なんてそんな不毛なものよ。 でも、まあ、容貌のことをあれこれ言うのはフェアじゃないな。やめる。
 しかし、93年時点でサイバーパンクはすでに死語。廃墟感覚がどうだらとかいう作品の断片的な情報を聞いて「何をいまさら若い人がそういう路線で・・・」と思ったもんだ。ブリクサが好きとか言ってるし。題名「壊音−KAION−」だし。いつの時代のカッコつけかた?21世紀になるというのに自分のマンガに「致死量 ドーリス」なんて名前をつけて喜んでいる楠本マキみたいなもの?これじゃあJ文学界隈でも相手にされてないたわいもない作品だと高をくくって、バカにして面 白がれるネタでもあるんじゃないか、という非常に悪質な動機で読み始めた。そしたら・・・読めなかった(難しくて)。
 
まさか挫折するとは思わなかった。だからちょっとショック。挫折というか、一応最後までちゃんと目を通 したけどね。字面は全部見ました。ストーリーは分かりませんでした。「なんかドラッグみたいなのやってるらしい。そしてよく寝ている」ぐらいしか。途中で家の中にいるのか外にいるのかも分からなくなるし、誰の家にいるのかもわからないし、登場人物の誰が男で誰が女なのかも分からないし、夢の話とかしてるんだけど誰の夢の話なのかも分からなくなるし。そもそも未来の話なのかどうかも分からない。清水アリカとは違うようだ。
 単行本にもう一つ「月齢」 というのが収められているが、読み進んでいる途中まで違う作品に突入していることに気がつかなかった。第二部だと思ってて、いつか前の登場人物がまた現れるだろうと思っていて、なかなか出てこないので、アレってそこで気がついた(でも実はちゃんと続編だったのかも知れない。分からない)。
 理解できないなりにおぼろげにつかんだのは、もしかしたら叙情っていうか結構おセンチな感じなのではないかということ。サイバーパンクではないようだ。清水アリカとも違うようだ。
 どうもおかしいと思っていたら、この女子高生、桜蔭高校だって。日本で一番勉強が出来る女子校のうちの一つだね。今は大学院でフロイトを研究しているらしい。家も学者らしい。
 J文学に相手にされてないなんて失礼なこと書いたけど、J文学などというB級文化などではなく、本格文学だったようだ。読めなくて当然!そして、ダサクても大丈夫!ラルクとか好きでも大丈夫(今はラルクとか好きらしい。もしかして、一周して好きなのだろうか?高度すぎ)! オフィシャルHPに気持ち悪い同人誌系イラストが掲げられてても大丈夫!
 と、いうわけで作者についてちゃんと調べたらショック和らぎました。
 あと、調べてる途中で知ったのですが前回話題にしたチンポ劇団に近い人脈の人たちの手で最近映画化されているらしいのですが、あくまでコレを書くことに決めて読み終わった後で知ったことなので、映画化の話題に合わせてこれを書いたわけではありませんので悪しからず。
 ところで、帯には坂本龍一の賛辞が書かれている。坂本龍一はちゃんと読めたんだね。鑑賞出来たんだね。実は今まで坂本龍一は、学者とか作家と対談とかよくしてるし、作品は世界的な評価を得ていて、教授とか呼ばれているけど、本当は本とかちゃんと読めない人だと勝手に思ってた。読めるんだね。



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