no.84 哀歌になってねえ (03.8.31)
「工業哀歌バレーボーイズ」。ずっと気になってたマンガだ。たまに食堂とかの待つ時間にヤンマがしかおいてなくて、基本的にヤンマがって読まないんだけど・・・何でだろうな、「少年○○」とか子供向けのは読むし、「スペリオール」とか「モーニング」みたいなオヤジ向けのも読むけど「ヤング○○」って殆ど手に取らない・・・まあ、もうヤングじゃないからいいんだけど・・・とにかく、ヤンマがしか読むのなくてパラパラめくるときは何度かあって、気になってたんだよ。絵柄とか、ほの見える設定とか、なんとなく、Dr.エクアドルというスタンス上いつかは読まなくてはいけないマンガだと思い込んでたんだよ。そういうわけで、今回単行本を頭から読破しようという試みに出たわけだが、結構きつかった。何しろ40巻も出ている。長寿連載じゃないですか。とても買う気になれないので(とは言いながら、「バレーボーイズ」が本棚の一段をまるまる占領している部屋も素敵だなという誘惑には抗い難いものがあったが)マンガ喫茶を利用したが、一息には読めず、4回ぐらい通
うことになった。ちょっと俺一体何してるんだろという気分も味わいつつ・・・
で、感想なんだけど、面白かったか、つまらなかったかでいえば、面白かった。理由は下らないから。あと、いい女を描こうとしても、あまり上手くなくて、全部似たような顔になってしまうのもいい。萌エを拒否する絵柄、これはポイントである。後半に行くに従って下らなさも加速して、巨乳を振り回して催眠術をかける女や、エビのように後ろに飛んで壁を突き破る女やらどんどんシュールな様相を呈し、工業高校の日常的でショボイ光景とのアンバランスが何とも言えず素敵だ。
ただ、引っかかるのは主人公赤木のモテ度も後半に行くに従って増していくことだ。連載初期は「スポーツをやればモテると思ってバレー部作ったけどダメだった」「ナンパがうまくいったと思ったら幽霊だった」「ナンパがうまくいったと思ったらオカマだった(だからダチに回した)」みたいな情けなくて冴えないネタが満載だったが、キャラが固定されていくにつれて、「貧乏で女に嫌われる谷口」「ブスにつきまとわれるヒゲ(キャラ名忘れた)」「口八丁で女をだましまくる赤木」という役割分担がはっきりしていき、口が上手く、セックスのテク抜群なヤンキーが築く一大ハーレムが
世界観の全面に現れてくる。「部屋ではち合わせして失敗」みたいなオチも「そのまま3P」みたいなオトしかたに変わっていく。次から次にセックスに飢えた女が赤木の部屋を訪れ、「はやく〜」とか言って股をパカパカさせて誘ってくる。これはリアルなんだろうか?どこかの工業高校にはそういうセックスの無政府状態があるんだろうか?そういう世界にいなかったんで分からん。
まあ、ヤンキーだろうが真面目で地味だろうが世の男性で「俺は十分モテている。」と思って充足感をもって毎日を生きている人は千人に一人もいないだろう。そして、ほとんどは「もっとモテたいものだ」と思って日々を送っているわけで、
そんな願望に応えるヒーローを設定したのかも知れないが、あまり感情移入による快感はない。嬉しくない。
すると、こうなってしまった理由として考えられるのは
1.馬鹿馬鹿しいセックスへの過程と、男の本音を描くためにモテ気味にキャラ設定したら、そのままエスカレートしてしまった。
2.作者のリアルな願望。またはリアルな経験(おいおい、ほんとうかよ。そんなヤツが漫画家になるものかよ)。
が、考えられるが、まあ、ここまで考えて馬鹿馬鹿しくなってしまった。
そんな、真面目に分析するようなマンガじゃないよね。どっちにしろ下らなくて面白いんだからいいんじゃないの?
同じモテマンガでも、小学館系(とは、限らないが)に横溢する内気で口べたな男の子に何故か美少女が寄り添ってくるマンガが放つ強烈な気持ち悪さと比べたら全然マシじゃないの?