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no.87 2003年ベスト10 (03.1.6

 前回のワースト10で、「スマップがレコード大賞」とか勝手な予想してたんだが、スマップって辞退してたんだってね。結局3年連続であゆ。まあ、オリコンで1位 とるぐらいのアーティストの殆どがワーストに入ってしまってるので、自分的にも異論はない。私が選考委員でもあゆを選ぶだろうな。でも、大賞を取り続けるってのもJポップ界がまるで停滞しているかのようで寂しいものだ。っていうか、「かのよう」ではなく、本当に停滞しているのかも知れない。因みに私のベストにはあゆは入ってこない。

1位 ROCK WITH YOU  BoA      

 お隣の国からの出稼ぎアーティスト、ボアちゃん。中学生ぐらいから日本に来てる?年端もいかないぐらいから日本でタレント活動しなきゃならない事情って何だろう?向こうで売れたから?なんか昭和の時代から芸能界に息づいてるディープな部分を連想してしまうが、顔が山口百恵とかの系列の日本でいう「幸薄い顔」の系列だから?だが、本人がブラウン管で見せる姿は至ってイノセントで陽気である。
 一昨年の「LISTEN TO MY HEART」のやたら昂揚感を煽るディスコ・サウンドにノックアウトされたが、去年になって「JUWEL SONG」、「SHINE WE ARE」とハイペースでリリースするも、バラードぽかったり、おセンチ感が払拭し切れてなく、興味が薄らいでいた。でも、この曲は久しぶりにイケイケ(死語)でいい。本人はロックテイストの導入に挑戦みたいなコメントをしているが、オーケストラヒットみたいなシンセの音で昂揚感煽っている(古い手法だが、ジャニーズ系とかでも未だによくやる)ので、ロックではないだろう。
 でも、個人的に一番よく聴いたのはアルバム「NEXT WORLD」で、何も考えてなさそうな(顔の)ボアちゃんがいろんなタイプの曲をちゃんと歌いこなしていて、よくやるよと感心した。とくにモンド・グロッソの「エブリシング・ニーズ・ラブ」(スペル表記するの疲れた)。大沢伸一なのでモード系じゃんって言われそうだが、2ステップでもブラジルでもなく、Jポップしか聴かなくなる前に私が聴いていたアッティカ・ブルースとか、キャス・コフィとかを想起させるサウンドで気に入っていた。

2位 uh uh... feat.AI/baby be mine suite chic      

 コムロの影も薄くなり、数いた沖縄アクターズスクール出身のユニットもいつの間にか消えてゆき(earthは沖縄に戻ったらしい)、一つの時代の明らかな終息を感じさせる21世紀初頭のJポップ界、離婚スキャンダルもあって、もう引退してるんじゃないの?とすら世間には思われてそうなアムロちゃんだが、コムロを離れてからのソロ活動には個人的には悪い印象ない。ソロ名義のはパクリっぽい部分もあるけど、クールでいいじゃん。♪めっちゃバリバリ、めっちゃバリバリと否応なくものすごく恥ずかしい日本語の連呼に聞こえてしまうこの曲(歌詞カードを見ると英語)は上半期のお気に入りだった。m-floのバーバルが絡んでいる。コムロの後にはバーバルの時代が来ると予想してすらいたが、どうやら来ないようだね。

3位 ANOTHER WORLD MINMI      

 一昨年のデビュー曲(?)「The Perfect Vision」は大好きで、一時ヘビーローテーションだった。アルバム「Miracle」もよく聴いた。「The Perfect Vision」は聴きすぎて覚えてしまい、カラオケ行くたび唱うようになってしまった。中年オヤジがカラオケでMINMIを歌うの図。見たいですか? インスト部分がない(前奏、間奏、後奏)ボーカリゼーションで埋め尽くされた息つかせぬ 感じがいいね。歌を重視している感じが好き。歌い出すと止まらなくなる感じが。
 ジャンル的にはラップであってもヒップホップっていうより、レゲエよりで、三木道三とか、pusimとか、ムーミンとかに近い位 置づけなので、どちらかというと苦手な部類の筈なんだけど(あ、
SKYWALKERは好き)、例外的に凄く気に入った。音的にその辺(三木道三とか)より広がりがあると思う。っていうか、出自がレゲエなんだろうけど、今、アルバムとか聞き返してもモロレゲエって感じの典型的な曲はあまりない。
 これはそのMINMIの最新シングル曲。サビのブラスの導入が70年代ディスコみたいでいい。

4位 渦 ポルノグラフィティ    

 ゴキブリコンビナート客にもっとも人気の高い邦楽アーテイスト、ポルノグラフィティ。アンケートの集計結果 なのだから間違いない。いったいどういう客層なんだよ、うちの客。まあ、悪いこととは思わないけどね。非難はしない。
 瀬戸内の小島出身の庶民感が売りなんだろうね。ルックスの華のなさは不況ならではって感じがする。GBの連載でaikoについて書いて、ユニクロ文化みたいなことを書いたような気がするが、この二人の醸し出すどこかさえない雰囲気こそ21世紀初頭における消費冷え込みを象徴する2大アーティストだと思う。コンサート会場では設営スタッフに紛れて見失ってしまうことだろう(特にaiko。照明とか音響とかにいる女子ってみんなaikoに見える)。
 ハードでもソフトでもなく、歌謡曲ロックとしか言いようのない音楽を展開しているという点で王道でありながら実は貴重な存在だと思う。切実な物があるんだかないんだか、というより、言いたいことが本当にあるのかないのか分からない詞もツッコミいれる寸前で止まっており、どこかもどかしい。そんな味わい。「♪僕らが生まれるよりずっとずっと前にはもう、アポロ一号は〜」と歌ってチャートに出現したときから気になる存在だったが、アルバムの曲目を見ても、「惑星キミ」「元素L」「素晴らしき人生かな?」と、何か言いたくなるんだけど言えないむずがゆい気持ちにさせるタイトルの数々。ちなみに「惑星キミ」のサビはこんな感じ。

♪惑星 OF THE LOVESICK STAR
キミにとってボクは青く見えているかな?

ううっ。つっこみてええ〜 ・・・

 ちなみにこの曲はかなり詞が真っ当な方で、つっこみたくなる部分は全くなくてつまんないのだが、サウンドが派手というか、「歌謡曲と呼べるギリギリの線」をついていて興味深いので選んだ。
 

5位 ペルセウス 島谷ひとみ    

 野球中継とのタイアップらしいが、ロボットアニメの主題歌にしか聞こえない。だとしたら、一番忌むべきジャンルになるはず。でも、何故か好き。
 島谷ひとみも出発点が演歌だけ合ってどこか泥臭いよなあ。ポジションもあいまいだよなあ。竹内まりやの「元気を出して」をカバーしてるが、そっちの方がキャラにフィットしてる。でも、そっちは嫌い。ギャップを漂わせたままダンサブルに攻めるのがイイ。「赤い砂漠の伝説」も好き。ビートをきかせてもあか抜けた感じにならなくてあくまでも「ザ・歌謡曲」になってしまうのがいい。
 ところで、10代20代に島谷ひとみのファンっているのか?どうも私ぐらい(あるいはもっと上)の年の人が支持している気がする。会社帰りに島谷ひとみみたいな女の子が酌をしてくれる店で飲んで、島谷ひとみのCDを買ってしまうのではないか?そんな風景がいつも目に浮かぶ。
 

6位 ギリギリ・サーフライダー ハルカリ    

 脱力的な唱い方(限りなくただしゃべっている声に近い声)、女二人編成、徹底してユニゾン(ハモらない)以上の要素からパフィーとの比較が多くされていることだろう。パフィーの存在はパフィー的な女が街に溢れているというのを前提にあり得たわけだが、「パフィー的な女の子」が消滅した現在、パフィーは消え去り、より今のストリートの匂いを漂わせるハルカリが出現したというわけか。ただ、ルックスで惹きつけられる男性ファンはパフィーの10分の一にも満たないだろう。
 かつてジャパニーズヒップホップとはネオヤンキー文化であり、コワイ雰囲気を垂れ流し続けるところに真骨頂があり、リップスライムやキック・ザ・カンクルーのカジュアル路線はその面 白み(文化の温度差)を減らす効果があるのでよろしくないと、書いたことがあった。その時はキックもリップも同じだと思っていた。
 しかし、いくつかの楽曲に触れるにつれて、リップの方が音楽的により多様な物を盛り込む試みを行っており、ただのヤンキー的なるものの軟弱化で片づけてはいけないという風に気が変わってきた。キック・ザ・カンクルーには相変わらず好感が持てないが。
  だから、リップスライムの曲をベストに入れようという気もあったが、去年は「ジョイント」ぐらいしか出してなくて、この曲(ドラムンベースの導入)はあまり刺激的な試みとは思えなかった。そこで、おもちゃ箱をひっくり返したようにある意味無節操に多様な音をもりこんでにぎやかな感のある曲を次々にリリースしたハルカリを入れた。
 アルバムにはタナカトモユキとか、ビッケとか新旧のモード音楽界の人も多数参加しているが、そっちの曲の方はむしろあまり面 白くない。っていうか、モード界の人も曲の方がむしろダサく聞こえるという逆転現象が起こっていて興味深い。とくに今更ながらの東京No。1ソウルセット風オシャレおセンチラップ。「あいまいな季節の中」とか「君への想い置きざりに」とか、ほかでやって欲しい

7位 ねがい 我那覇美奈    

 映画「あずみ」の主題歌らしい。ちなみにこの映画は観てない。関係ないけど、マンガ「あずみ」の方も週刊スペリオールの看板人気マンガのようだが、北斗の拳がラオウを倒した時点で完結で、残り部分(分量 的には半分以上)がおまけに過ぎないように、このマンガもあずみが徳川家康を暗殺するまでが完結で、もう最近の数年は惰性のおまけである。あ、これ既にどっかで書いたな。 そんで映画の公開前後にやたらラジオ等でかかっていたので好きになった曲。彼女にとっては恐らく相当にラッキーなタイアップで、チャンスをものしたといえるだろうが、結果 としてヒットしてない。
 前奏の中近東だか東欧だか風のエスニックサウンドで始まって、めまぐるしく風味が変わっていくが、それと無関係にやたらボーカルがあつい。でも、なんか古くさい感じもする。九宝瑠璃子とかの時代の歌い方だよね。これをきっかけにアルバムも2枚ほど聴いてみたが、面 白い曲はなかった。ビーイング系って言われても納得しちゃう凡庸な音であり、私の交際関係にはもちろん、ゴキブリコンビナートの客にも我那覇美奈っていいよね・なんて人1人もいないと思われる。
 作曲はショコラータのかの香織、編曲は「ルビーの指輪」「セーラー服と機関銃」等で有名な歌謡曲界の大御所、井上鑑、ギターを弾いてるのはパール兄弟の窪田晴男と80年代残党大集会の感があるが、それぞれのかつてのポジションを考えれば80年代には絶対あり得なかった組み合わせ。会場を間違えた同窓会って感じ?

8位 合コン後のファミレスにて ソニン

 ソニンとか褒めると、氣志團とかクレージーケンバンド好きな人たち(サブカル君、サブカルちゃん)のグループに組み入れられそうでそういうのは避けたいし、ハロープロジェクト、zetimaが仕掛けることにいちいち反応してるのももう飽きたって感じで、もうつんくのやることなんかに驚かないぞって気持ちでいたのだが、さすがにこれはちょっと意表をつかれた。この眼の付け所、かなり好き。こういうの全てつんく氏の着想なんだろうか?某青年マンガ誌の連載もちゃんとつんくが全部書いてるんだろうか?モー娘。をはじめ全体にピークを越えた感はあるけど、まだまだ頑張るね。
 ところでソニンちゃんはお隣の国がルーツの2世だか3世なんだが、芸能界は昔からお隣の国の人が頑張っていた。ただし、あくまで本名は隠して日本名で日本人になりすまして、そのまま日本国籍でもないのに国民栄誉賞までとったりしてたものだが、その辺あからさまなのは時代が変わったんだね。私なら次の曲あたりは「チェジュ(済州)海峡の女」とかして天童よしみの「珍島物語」みたいに意味不明な韓国語(♪海の神様〜カムサハムニダ〜みたいな)のを歌詞に盛り込んだりするだろうけど、つんく氏はそんなベタで安易なことはやらないだろうね。
 ちなみにカップリングはアップテンポでモロEEJUMP。  

9位 MI DA RA 摩天楼   メロン記念日 

 モーニング娘。の後にメロン記念日の時代が来る。と、さしたる根拠もなく吹聴して回っていたが、どうも来ないようだ。なのに2003年4枚ぐらいシングル出したんじゃないの?結構ハイペースだよな。でも、この曲にしてもソニンのように着眼点に瞠目するわけでもなく、懐メロ臭いアイドルソング。はやくハジけ、壊れ、ブレイクして欲しい。応援してるぜメロン記念日。と、いっても別 に好みのタイプなわけでもないし、この曲に関しても特筆すべき点は別にないのだが、

♪シーツの中は摩天楼〜

って、そいつはたしかにMIDARA摩天楼だな。俺のは摩天楼どころか・・・平屋建て?・・・

10位 ROLLIN`ON DOUBLE

 90年代末より雨後の竹の子のごとくJポップ界に次々出現したR&B系ディーバ達だが、この流行ももう虫の息。アーティスト達の淘汰も進行しているようで、日サロ通 いもやめ、クラブからも足遠のき、ただの地味な主婦(ヤンママ)になっている方々も既に何人かいるのではないか?宇多田ヒカル、MISIAは去年もヒットを飛ばし、安定した地位 を保っているが、SUGAR SOUL、嶋野百恵に関しては去年オリコン50位以内に一度も入っていない。その中でDoubleは、姉妹デュオが売りであり、だからこそのユニット名なのに、1人死んでしまったりして、真っ先に淘汰されそうな印象があったが、生き残り組に入ってしまった。
 Double(=タカコ)はラジオで聴くと以外に可愛らしい声で話し方ももの柔らかで、「和歌が好き」とか、和風趣味な一面 も見せるが、ビジュアルで見るとめちゃめちゃコワイ。 ダブルみたいな感じの女=ダブラー(アクセサリーじゃらじゃら、眼光のきつさを強調するメイク)は実は以外に多いみたいで、ネオヤンキーの現在形の主流をなしてる感すらある。風俗やキャバクラで働いている層にも多数食い込んでおり、そういった店でそういった女に当たるとものすごく損した気持ちになる。

 そんなわけでベストをあげてみたが、コメントを読み返してみるとまるでワーストを選んでいるかのような突き放した言い方ばかり。 大体、嫌いな物にはかなり客観的で多くの人が納得する本質に迫るコメントが出来る自信があるが、好きなものは何で好きかうまく説明できない場合が多い。自分でもよく分からない。まあ、世の中そんなもんじゃないの?

 あと、ポルノグラフィティ以外女ばっかになってしまったが、ヒットチャートには男もちゃんといっぱいいるのにどうしてもワーストに入ってしまう。何も考えず楽しく聴けるポップの中で圧倒的に女性の割合が多い傾向にあるようだ。断じて女が大好きなわけではない(むしろ嫌い。肉体を別 にすれば)。 去年男で売れた曲はメッセージ主導型の偽善ロックとか、中年向きネオ演歌と化したニューミュージックとか、そんなんばっかじゃなかったかね。


 


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