バカ演劇を標榜しているが、ごくたまに「おバカ」という表現に出会い、困惑する。「バカ」という言葉の救いようもなくダメな感じが緩和され、「なんかお洒落っぽいじゃん」という感すらただよう。ゴキブリコンビナートは単に「バカ」ではない。では、「おバカ」とはどんなモノをさすのか。
かつてアンケートに「バカで下品なのはいいけどもっとお洒落にやって下さい。」と書かれた。私は首をひねった。「バカで下品なモノがお洒落なはずはないだろう。何を言ってるんだ、こいつは。」だが、バカで下品でお洒落なモノに私はついに遭遇した。「オースティン・パワーズ」だ。「デラックス」はまだ見ていない。下らないギャグ連発。下ネタ連発。だが、バックグラウンドに流れる音楽は、かつてサバービアとかいわれたモード系のモノ。急にミュージカルシーンになったり、演出はかなりマヌケだが、どことなくキュートで、愛らしい。登場人物のファッションも野宮マキみたいでとてもお洒落だ。下品な下ネタも貧乏くさくもなく、不潔感がない。そうか。これがあのアンケートを書いたヤツの求めている世界なのか。目からウロコが落ちた。
ゴキブリコンビナートが目指しているのはこういう世界ではない。こういう「おバカ」を堪能したい人間は、別の劇団を見るといい。劇団名はあえて伏せることにするが、アレとか、アレとか、アレとか見るといいんじゃないかな。それから我々と最近表向き仲良しに見られているアレとかね。私は勝手に「J演劇」とそれらを呼んでいるけどね。ゴキブリコンビナートは「J演劇」には属さない。そんな「おバカ」とか言うのがイケテルとか信じ込んでる人達と戦うために、私はゴキブリコンビナートをやっているんだと思う。我々にとって「下品」と「バカ」はリアリズムなのであり、庶民の生活感情なのだ。だから、常に小汚く貧乏臭い。そんな、お洒落には絶対なり得ない「下品」と「バカ」にどっぷり浸かりきることこそがイケテルかどうかは分からないが、我々にとってのイカした生き方なのだ。「オースティン・パワーズ」や「J演劇」が提示する「お洒落としてのバカっぽさ」とはベクトルが逆なのだ。
2000年になったので99年J-POPのベスト10、ワースト10なんかをまとめたいが・・・
結局10個もいい曲を思い出せない。これでは全然「J-POP大好き」じゃねえじゃねえか。と、言われそうだが・・・とりあえずヒトエちゃんのソロ、HITOE’S
57 MOVE の「INORI」は入ってくるだろう。
あと、未だブレイクしていなく、そのまま消えていきそうだが、個人的には注目しているFolder、ジャクソン・ファイブをカバーしたヤツがいいと思うが、曲名が思い出せない。Folderはもっと頑張って欲しい。Folderの気になるところは「曲がかっこいいのにルックスが地味」なところだ。小学生なのだからしょうがないのかも知れないが、スピードのように研ぎ澄まされたところがまったくない。見た感じ全くその辺の小学生だ。特にあのメインボーカルのもっさりした感じ。実にいい。
1位は、マリス・ミゼルの3部作の1曲目になるだろう。マリス・ミゼル復活万歳。多くのビジュアル系が薄化粧になっていくなかで、イカれた女装メイクを一向にやめようとしない。マリス・ミゼルは最高だ。しかも、この曲はなんとインストだ。ボーカルなしだ。ビジュアル系なのにインスト。画期的過ぎる。ただでさえ彼らはライブで演奏行為をしないことで有名なのだ。歌まで取り去ってしまって、いったいどうするんだろう、ライブ。ただつっ立っているだけとか。まるでニューオーダーだ。
さて、ここまで考えたところで、これは、というのがなくなってしまった。困った。復帰後の朋ちゃんでも入れようか。もとから大好きだったが、復帰後ますます目が離せなくなってしまった。朋ちゃんもこのままだといなくなってしまうだろう。がんばれ朋ちゃん。誰も予想しないような新機軸を打ち出せ。(そこまで書いたところで朋ちゃんは活動休止になってしまった。がっかり。)
3曲でネタが尽きてしまったベストに比べて、ワーストはいくらでも出てくる。まるで私はJ-POP大嫌いのようではないか。いやいや、決してそのようなことは・・・・。
1位 「あの紙ひこうき曇り空わって」 19
1位は誰もがワーストと認める19だ。でも、どこがそんなに嫌なんだろう。ああいう歌を歌うだけなら別に気にならない。そういう人はいっぱいいるし。問題はルックスかも知れない。金髪、ボディーピアス、タトゥー。モダンプリミティブなファッションアイテム。悪のアイテムだ。だが、純朴で地味な顔とキャラ。そして、コンサバで偽善者的な歌詞と音世界。このギャップが、良識あるリスナーを苛立たせるのだと思う。みんなが大嫌いな326の存在は、個人的にはあまり気にならない。
2位 「ビー・クール」 野猿
基本的に企画もモノは嫌だ。なんとかビスケッツとかいうのも。でも、J-POPの時代は企画モノの時代である。小学生もCDを買うと言うことだね。とんねるず、オモシロイデスカ?リードボーカルのドレッドのやつもすごく気になる。「ビー・クール」と言いつつ自分の心臓を指さす変な振り付け。カッコイイデスカ?元スタッフの皆さん、ヤッテテタノシイデスカ?
3位 「スコール/ヘブン」 福山雅治
福山クン、かっこいいよね。歌も歌えるし、自分で曲も作るし、ラジオのトークは面白いし、完璧だよね。欠点があるとすれば、ダサイことぐらいかな。でも、少しダサイぐらいがモテルんだよ。僕が福山クンみたいな顔だったら、演劇なんかやらずに普通に会社入ってそこのOL食い放題。一社完全制覇に挑戦するだろう。
4位 題名忘れた ブルーム・オブ・ユース
5位はサムシング・エルス。これも企画モノ。しかも野猿やなんとかビスケッツのようにギャグの部分もない。つまらない歌を一生懸命に歌っているだけ。なんなのこれ?ブルーム・オブ・ユースの右側のヤツ、すごく気になる。
6位 ポケットビスケッツ
ブラックビスケッツは7位にしとく。ところでこいつら去年CD出したっけ?ウッチャンナンチャン、オモシロイデスカ?
8位 「花火」 AIKO
「カブトムシ」のほうが売れたが、先に出会ったこっちの方がインパクト勝ち。イルカ顔。オーバーオール。妙にハシャいだ感じ。とても気持ち悪いです。
9位 シャムシェイド
一昨年なら1位だったのに。ちょこっと慣れた。
10位 「moonlight magic」 藤井フミヤ
もうこの辺になると別に積極的な悪口を言う気もなくなる。フミヤートっていいネーミングだね。
ついでに今年のJ-POPにどのような事件が起こるか勝手に予想してみました。
1.「演劇アイドル」藤原竜也ついにCDデビュー。あまり歌が上手くない上にジャニーズ事務所の圧力がかかり、あまり売れず。
2.「なっちゃん」こと田中麗奈もポスト広末の座を狙い、デビュー。あまり歌が上手くなくて売れず。
3. 誰もがすぐ消えると思っていたポルノグラフィティ、大ブレイク。J-POP界を甘くみてはいけない。こういう謎の現象が時として起こる。
4. CHARA+YUKIに対抗して、POBOTSとヒステリック・ブルーのたくやでTAKUYA+たくやでデビュー。それにつられて、センチメンタル・バスの人もタクヤと改名。TAKUYA+たくや+タクヤとなる。男だけなのでもちろん売れず。(そこまで書いたところでジュディ・マリが活動を再開。この予想すでにハズレ。)
5. ビジュアル系はインダストリアルが大好き。シャフト(バクチク+ソフトバレエ)のレイモン・ワッツ(PIG)に続いて、F.M.アインハルトをドイツから呼び出す(もちろん金にモノを言わせて)。メンバーはスギゾーとラルクのドラムの人とか、GLAYのオカマみたいな人とか。バンド名はワッシャー(かっこいい!)。渋公あたりでギグ。
6. 80年代後半のネオアコ、90年代前半の渋谷系に続く新たなモード・ミュージックの波が水面下で蠢き始める。それがどんなタイプのものなのか、お洒落と縁のない私には予想不可能。だが、そろそろそういう動きがあっていいと思う。今までの路線を貫こうとする小西康陽氏や田島貴男氏を尻目にファジーな男、コーネリアスこと小山田氏は真っ先に飛びつく。
7. TRF誰も気付かないうちに解散。
8. ELT、解散。持田香織はソロで2曲ぐらい出して消える。(と、そこまで書いたら1月下旬の段階で新曲が売れてしまった。解散は来年だね。)
9. IZAM、女装に行き詰まり、男の格好をし始める。もちろん売れず。
10. モーニング娘。にまた可愛い女子中学生が入る。そのままプッチモニのメンバーに。保田圭はたんぽぽに移籍。