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何の参考にもならない芝居ファイル 1

遊劇体「ギルガメッシュの夜」7月9日 新宿タイニイ・アリス

 謡い文句には「オレがやるのは「芝居」ではなくバカでキケンでデタラメで楽しいナニかだ。」これではまるでゴキブリコンビナートではないか。こんな何の含みもないストレートな宣伝文句を我々は垂れ流したことはないが、確かに我々の芝居は「こんなの芝居ではない」とか、「バカ」とか、「怪我に気をつけて下さい」とかよく言われる。ということはライバル出現?同志?我々よりバカで危険だったらどうしよう。ゴキブリコンビナートの孤高性、存在意義すら脅かされてしまうんではないか。だが、チラシのデザインは我々のそれとは似ても似つかない失敗した耽美派風。カッコつけがミエミエでカッコ悪くなるよくあるパターンのもの。さて実際観に行ってみると・・・。チラシどおり、かっこつけの無自覚的だささ垂れ流しの失敗耽美物だった。とりあえず一安心。しかし、観ている内に余りの地味さ、パワーの弱さに次第に腹が立ってくる。何なんだこいつらは。余りに腹が立ったので金を払った腹いせにこの観劇体験の一部始終を記述することにする。

 とりあえず台詞第一声からカッコつけの嵐。しかもチープ。思わず苦笑がこみ上げてくる。もしかしてこれが「バカ」ってこと?それが狙いなら大した知性派だ。さすが京大出身!

 ちっともコギャルに見えないというかコギャルっぽくしようとしたという努力のあとすらみえない女どもが次々に現れる。でも台詞を聴いている限りはどうやらやはりコギャルの役ではあるらしい。コギャルをまともに研究しようとすらしないその研究態度にああ、京大出身だからコギャルなんて心底バカにしてるんだな。コギャルファンのエクアドルのいらだちはここでますます高まる。こいつら、あらゆることをタカをくくってやっているんだな。という気持ちになる。

 先生と呼ばれている男とコギャルとの観念的で地味なやりとりが延々続く。台詞にジェスチャーは大げさに伴うが、シチュエーションにのっとったアクションは全くない。だが、その事態はゴキブリコンビナート以外の96.7%の劇団において見られることなのでそこを責めるのもかわいそうだが・・・

 出て来る女優陣がことごとくブス。ブスはブスなりにもう少し愛敬があったら、あるいはもう少し完璧にブスだったらそれなりに味わいがあるのに一番無味乾燥なブスレベルに全員が落ちついている。せめて、脱げ、ブス。脱げ、ブスと心の中で呪文のように唱え続ける。

 小道具を使わずにマイムで処理したり、靴音をPAで強調したりとかライブ性を蹂躙する演出が気になり始める。朗読劇が?これは。

 舞台後方が金網で囲まれる。いよいよ「キケンな」スペクタクルが始まるのだなと一瞬期待する。しかし、金網を紗幕にみたてたロマンチックな幻想シーンが展開されるだけ。照明効果のための金網だった。

 そしてそのまま芝居は終わる。いい加減にしろ、バカヤロー!!どこがキケンなんだ。どこがバカなんだ。別にこういう芝居をやることが悪いとは思わない。だが、チラシとかに嘘を書くことが許せない。いぶし銀のような渋い朗読劇ですと書かんかい。それとも彼らが宣伝文に書く「キケン」「バカ」「キチガイ」「バイオレンス」が我々のいうそれと全く異なる意味を持っているとでもいうのだろうか。とにかく後味の悪い一日だった。


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