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no.107 オタクは嫌いだが、「嫌オタク」派もまた敵なり (06.4.6)

 あまり政治に関しては取りあげたくない。このコーナーでもゴキブリコンビナートでも?え?いつも公害反対とか就職差別 反対とか言ってるだろうって? ネタだよ。ネタ。ええっとね。確かに政治に言及せざるを得なくなる心境、運動起こしたくなる状況には興味がある。社会の矛盾は鋭くえぐりたいが、人間の矛盾と絡めてのうえのことで、解決への建設的な指針を指し示す気など毛頭ない。すなわち政治的立場などない。左翼でも右翼でもない。無色でありたい。「ナラク」で福島瑞穂とやりたい〜と歌ってたけど、あれ社会批判的意図なんかなくてまだ社会党とかはいる前、肩書きが弁護士だった頃は本当に思ってたんだよ。田嶋陽子とか見てフェミニストはブスの軍団だと思いがちだけど、福島瑞穂ならOKだなって。今はちょっとふっくらしすぎてダメだね。
 てなわけで政治への言及は誤解を生みがちだ。だから本宮ひろ志事件に触れるときもちょっと腰が引けた。何しろサヨクとウヨクのバトルなわけだからね。触れるとどっちかよばわりされちまう。でも、非常に興味深いのでつい目がいってしまう。つうか謎だよな。ネットウヨとは何なのか。嫌韓厨とは何なのか?
 何故、男気の塊のような本宮ひろ志が サヨクで、ニートとか2ちゃんねらーとかオタクとかいった連中がウヨクなのか?謎だ。ふつう逆だろ?この逆転現象は何なんだろう。世間の今までの常識的イメージで言うと、ウヨクっぽいのは体育会系部活の人、とくに野球部。甲子園好きとか聞くと脳が筋肉で愛国心も強そう。あるいはヤンキー。実は保守的で家庭的で愛国心も強い。オタクとかニートとかいうのはその対極に位 置するはずだ。政治的立場は完全なノンポリ(全く無関心)かアナーキスト。愛国心なんてかけらもないはず。いや、そうあって欲しい。だが、そうなってないのだ。全く不思議。

 思えばキングギドラ(ジブラ)は「911」とかで平和を訴え、他にもラッパー達が自民党やら小泉政権やらを批判する歌を発表(ダジャレで)。長渕もブッシュのイラク侵攻を批判する歌を発表。DQNが平和や人権を訴え、オタクが愛国心を鼓舞しようとする。何か間違っていると思わないかい?

ネットウヨによれば天皇は「皇」の字がついているから「王」ではなくそれ以上の存在。英語で言うとエンペラーであり、歴史上ではナポレオンとか始皇帝とかに比類する偉さ。現在では「皇」がつくのはローマ教皇と天皇だけ、他のどこの国の王よりも立場が上なので、どこに国からも至上の敬意であがめられてるらしい。

誰が信じるよそんな与太話。どうしてそんなにも国家なんて抽象的なものに誇り持ちたいの?頭おかしいよあんた達。

 顔はどうみても幼女でマン毛もはえてなくて胸だけが超巨乳などうみてもフリークス女が、意志を有した謎のツタorツル草身動きを奪われ、口とマンコにツタorツル草の先っちょをつっこまれて涙流しながら「くふう・・・」とか言ってるマンガでセンズリこいてるやつが、愛国心なんて言ってんじゃねえよ。

と、声を大にして言いたい。つくる会教科書支持してる奴らは元高校球児かきうちかずひろ、もりやまつる、森田まさのり、村田ひろゆきのマンガから飛び出してきたような面 構えの奴らだと信じたい。いや、信じる。ネットウヨなんてオタクの中のごく一部だきっと。目立ってるだけだ。オタクの大部分は俺と同じ人間性も愛国心も関係ない非国民。

ヒロノミヤ様に女児しかいなくて、将来的に天皇の跡継ぎ問題が発生する(女系天皇という史上に例をみない天皇がうまれる)点についてどう思われますか?

男性ホルモン打って誰かのチンポ移植して男ってことにしちゃえばいいじゃん。

そんな風にさらりと言い合える間柄でありたい。

俺はガテン系なのでタイプ的に全く違うけど、応援することにするよ。彼らを。秋葉原万歳。ギャルゲー万歳。ロボットアニメ万歳。だからカラオケ行ったら必ず歌うようにするよ。

♪こちら宇宙の何でも屋 たけおゼネラルカンパニ〜 俺は社長で小学生・・・(トライダーG7)

♪助さん 格さん 今日もめでたしめでたしで よかったねよかったねよかったねよかったね・・・(ゴーショーグン)

 おお、どちらも完璧にそらで歌えるぜ。俺もロボットアニメマニアの仲間入りだ。
 さて、そんなわけで、本当はロボットアニメ見ると虫酸が走るんだけど我慢してオタクを応援することに決めたわけだ。そんなわけでオタクをウヨク呼ばわりして攻撃している本をこれから斬っていく。80年代系オシャレ文化人の残党どもはいまいちおおらかさに欠けるようで、とにかく最近のネット右傾化現象は憂うべき事態のようだ。

 例えば、香山リカ「私の愛国心」。香山リカの分析が正しいかどうか検証する以前に80年代からこの女の印象はとにかくキモイ。論理とかなくてゴメン。とにかくキモいし、何やりたいか全く分からないので応援する気にならない。何も言えないわ。オリゴCCでも飲んでろ

 オタクをじゅっぱひとからげにしてウヨク呼ばわりは許さんぞ。オタクのサイレントマジョリティはノンポリ(もしくは無政府主義)だ。

 で、この話題の本「嫌オタク流」の登場だ。「マンガ嫌韓流」に対抗してつけたタイトルだね。香山リカの本と同じく、どうして引きこもりのニートどもが右傾化するかもっともらしい分析めいたことが述べてある。胎内回帰願望がどうとか。だが、分析以前に観察がない。つうかオタクをちゃんと研究した形跡がない。どうやら著者達はオタクになどはなっから興味がないようだ。「オタクについてなんて考えるのも億劫だ どーでもいいよ」みたいな雰囲気が漂いまくる。いいのだろうかそんなんで。本とかにしていいのだろうか?

 世の中にはイジリ芸というのが存在していいと思う。対象を揶揄し、突っ込み、おとしめ、小馬鹿にして楽しむ悪意に満ちた芸。そんなもの認めないという人も多いだろうが、私はあってもいいと思う。ただし、それが芸(=人を楽しませるもの)であるためには、攻撃対象への愛に限りなく近い執着がなくてはならないと思う。

 この著者達はオタク嫌いなんでどうみてもオタクばかりで構成されたと学会なんて存在意義すら認めないんだろうし、読んでも面 白いとは思わないんだろうが、この著者以外の世間の多くの人や私が「と学会」の本が何故面 白いと思うかというと、やはり裏付けがすごい。ファン以上に「トンデモ本」を熟読しているし、引用元も調べ上げ、引用と引用元のズレから歪曲を指摘し、資料は全てあたって主張の背景やら系統を徹底的に調べ上げている。「なんか常識とちがうじゃーん」みたいなところで突っ込んでない。だからこそと学会の本は刺激的なのだ。嫌オタクの著者達はイジリ芸、突っ込み芸において、と学会という「オタク」に負けている。

 いや、彼らは別に「イジリ芸」をやりたいなんて思ってないのかも知れない。では何がやりたかったのか?

 この本に度々現れる主張−「オタクが最近プライドを持ちつつあるようだけど、なんかやだね」これこそがこの著作のテーマなのかも知れない。実は私はこれに同感である。

 映画「マトリックス」の第三部にどうみてもガンダムに影響を受けたようなロボット軍団が登場する。これが本当にガンダムの影響下で生まれたものなら、俺はガンダムの存在意義を大いに認めざるを得ないだろう。だってかっこいいもん、アレ。だが、本家のガンダムは、というと、かっこいいのかどうか全く分からん。どうやらゴーショーグンのエンディング・テーマは歌えても完全にその世界の住人には成り切れていないようだ。とにかく、まったく別 物のカッコよさ、になっていて、ガンダムファンがアレを見て「またハリウッドが日本アニメの影響を受けた」と悦に入っているのだとすると、すげえむかつく。ちょっと待てよと言いたくなる。

これこそイジリ芸だよ。ハリウッドがオタク文化を本気でリスペクトなんかしねーよ。

 そんなわけで、「嫌オタク流」の主張「オタクごときがプライドもってんじゃねえよ」に概ね同意なのだが、じゃあ何故この本を支持しないのかというと、その主張がどのスタンスからなされているのか?という一点においてだ。この本の著者達は香山リカのように80年代カフェバー文化の残党ではない。オリゴCCもきっと飲んでない。だが、本質は同じである。ゴダール映画をこよなく愛し、小山田圭吾と青山ブックセンターで知り合って親交が深かったという中原昌也。「アメリ」や「ポン・ヌフの恋人」が実はそれ程オシャレじゃないことを知っているオシャレ上級者である。暴力や悲惨がテーマの作家で通 ってるが、思い入れがあってそんなテーマにしているわけじゃなくなんかの批評・揶揄的意味合いに過ぎない(読めば分かる)。きっと倒錯者の戦略とやらだろう。かつてはノイズ音楽家だったようだが、実際聴いてたのはエル・レーベルだったりしたに違いない。お前こそ秋葉系だよといいたくなる見た目のもっささに騙されていてはいけない

 そんなセンスのヒエラルキーの上方から底辺に向かって「おいおい、あまりプライド持つな」と突っ込んでいるのである。なんだそりゃ。バンダナ、ケミカルウォッシュ、ネルシャツの典型的なやつに向かって「モードじゃないねえ」って言ってるようなもので当事者達には全く届いてないと思う。ゴダール好き同士でせいぜい言い合ってろ

 ただし、油断は禁物だ。岡崎京子の「PINK」とかいうマンガで主人公のオサレOL(部屋でワニを飼うイヤミなサブカル女)が電車で乗り合わせている周りの乗客(オヤジ、ガキ、バカップル)が「総じてダサイ」ことに気付き、突然殺意と憎悪にみまわれるというシーンがあるが、オシャレなやつはダサイやつをみると本気で「死ね」とか思うらしい。この本に書かれているのも似たような感情なのだろう。電車でオシャレOLに殺されたくないものだ。

 

 


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